【イベントレポート】デュシャンからはじまる「問い」の冒険
Report
2025.12.02
2025年11月6日(木)、VALLOON STUDIO SHIBUYAにて「ビジネスパーソンのためのアートな交流会」第5回を開催しました。
今回のテーマは──
「ビジネス×アート×自己変容」
“問いをつくる力”をアートから学ぶ夜。
ゲストは、美術教育の専門家であり、長年にわたり絵画指導と美術史の探求を続けてきた佐藤友則さん。
現代アートの“難解”なイメージを、深い知識とユニークな語り口で「日常で使える思考」へと変換してくれるナビゲーターです。
今回は、現代アートの起点として知られるマルセル・デュシャンを題材に、作品の背景や作家の葛藤を紐解きながら、参加者と一緒に「対話型鑑賞」を実施しました。
デュシャンが開いた“概念の扉”

イベントの冒頭、佐藤さんが紹介したのは20世紀アート最大の転換期といわれるマルセル・デュシャン。
彼が既製品の小便器を“作品”として提示した《泉(Fountain)》は、アートの価値基準を「美しいかどうか」から「何を問いかけているか」へ大きく変えた出来事として知られています。
「デュシャンがしたのは、“見る美術”から“考える美術”への転換なんです。」
美しさよりも“問い”。
作品よりも“思考”。
その視点の変化が、参加者の脳を揺らしはじめます。
アートの歴史は、「問い」の歴史でもある
交流会の中では、デュシャンの背景にあるアート史の流れも紹介されました。
・クールベ:美術の“理想世界”を壊し、日常のリアルを描いた
・印象派:光・色・空気を追いかけ、表現の幅を広げた
・セザンヌ→ピカソ:形や認識そのものを問い直し、キュビズムへ
・デュシャン:ついに美の概念すら手放し、“考え方”を作品化した
一見遠い歴史の話のようですが、佐藤さんはこう重ねます。
「この流れ、すごくビジネスに似ているんです。
“前例をなぞる”ところから始まり、
“行き詰まり”が生まれて、
そこから“基準そのものをつくりかえる”人が現れる。」
アートを知ることは、時代がどう変化し、人がどう“突破”してきたかを知ることにもつながる。
そんな気づきを与えてくれる解説でした。

「問いをつくる力」が、ビジネスの未来をつくる
対話が進む中で浮かび上がったのは、ビジネスもアートも、最終的には“問いの質”に収束するということ。
「多くの人は“どうやるか(How)”に偏りがち、でもイノベーションは“何を問うか”から始まるんです。」
デュシャンが「美しさとは何か?」を問い直してアートを変えたように、ビジネスもまた、問いをつくることでしか変わらない。
・今の価値基準は本当に正しいのか?
・なぜ、それを良しとするのか?
・そもそも、何を目指しているのか?
参加者からも、
「“問い続ける姿勢”って、仕事でも人生でも必要ですね」
という声があがり、会場には共感の空気が流れました。
触れる思考の時間
今回は、歴史をたどりながら“自分の思考に触れる”という、アートならではの深い時間が生まれました。
問いを立てる。
前提を疑う。
新しい視点を試す。
それはまさに、デュシャンが一世紀前に示した「思考の態度」でもあります。
参加者同士の対話からは、こんな言葉が聞こえてきました。
・「アートが正解じゃなくて、問いをくれる感覚が面白い」
・「普段の仕事では考えない角度の話ができた」
・「価値基準を疑うって、勇気がいるけど大事ですね」
アートを見るというより、自分の内側の“基準”を見つめ直す夜。
そんな時間となりました。

VALLOON STUDIO SHIBUYAでは定期的にビジネスマン向けのアートな交流会を開催しております。
ご興味のある方は、次回ぜひご参加ください。
